1987年にバンドを結成し、1990年代半ば以降コンスタントにヒット曲を生み出した、日本のポップ・ミュージック・シーンを代表するバンド、スピッツ。プロデューサーに椎名林檎、東京事変、平井堅などの作品を手がけてきたことで知られる亀田誠治を迎えて制作された通算11枚目のアルバム。シングルとしてリリースされた...
デビューした1991年のうちに発表された2作目のアルバムで、演奏の躍動感が増進。中でも三輪テツヤのギターがUKロック、それもシューゲイザー寄りのサウンドがのびのびと鳴っているのが印象的だ。タイトル曲や「恋のうた」といった人気の高い曲はメルヘンチックでありながら底に毒気のようなものを忍ばせていて、こうした草野マサ...
新たな変革の波が訪れた8作目。笹路正徳が関わったのはタイトル曲のみで、基本軸はバンドと棚谷祐一(当時カーネーションに在籍)との共同プロデュースとなった。その制作は、特に草野マサムネにとっては試行錯誤の連続だったようで、曲作りは難航し、録音の現場では初めて彼がエレキを弾いたりもしている。ヒットソング「運命の人」の...
幕開けを彩る「夜を駆ける」のピアノとギターのウェットな響きは、本作の魅力である青い切なさを代弁しているかのようだ。オルタナに接近した前作「ハヤブサ」の流れをくんだ「さわって・変わって」(草野マサムネの地元、福岡の天神駅が歌詞に登場)もあるが、アルバムとしてはこのバンドが本来抱える叙情的な文学性が前面に表出してい...